モンブランといえば、細く絞られたクリームが特徴的な洋菓子ですが、日本で広く知られている「黄色いモンブラン」は、実は日本だけで親しまれている特別なスイーツです。日本発祥のモンブランは、1933年に東京で誕生し、昭和の時代を通じて全国に広まりました。その独特な黄色は、栗の甘露煮を使用したことに由来しており、ヨーロッパの茶色いモンブランとは異なる日本ならではの進化を遂げています。
モンブラン=栗というイメージが強いですが、なぜ日本のモンブランは黄色くなったのでしょうか?また、近年では栗だけでなく、さつまいもを使用したモンブランも登場し、カラフルなバリエーションが増えています。日本で最初に登場したモンブランの背景を知ることで、昔ながらの製法やレシピ、そしてフランスとイタリアのモンブランの違いも理解しやすくなるでしょう。
この記事では、日本発祥の黄色いモンブランの歴史や、モンブランの本場とされるフランス・イタリアとの違いを詳しく解説します。さらに、日本と海外で何が違うのか、そして今でも愛され続ける理由についても掘り下げていきます。モンブランの魅力をより深く知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
記事のポイント
日本のモンブランが黄色い理由と発祥の歴史 |
フランスやイタリアのモンブランとの違い |
昭和から現代までのモンブランの変遷 |
日本で独自に進化したモンブランの特徴 |
モンブラン 日本だけ?黄色いモンブランの特徴とは
- モンブランの発祥と歴史
- 日本で最初に登場したモンブランとは?
- 昭和時代のモンブランの変遷
- 昔ながらの黄色いモンブランとは?
- モンブラン=栗?なぜそうなったのか
- 日本と海外で何が違うのか?
モンブランの発祥と歴史

出典:【保存版】モンブラン完全ガイド!歴史・種類・おすすめ店まとめ
モンブランの発祥には諸説ありますが、一般的にはフランスとイタリアの両方にルーツがあると考えられています。フランスのサヴォワ地方やイタリアのピエモンテ州で、栗を使ったデザートが生まれ、それが次第に発展して現在のモンブランになりました。どちらの国のモンブランも、アルプス山脈にある「モンブラン(Mont Blanc)」という山をモチーフにしている点は共通しています。
フランスのモンブランは、メレンゲを土台に生クリームを乗せ、その上から栗のペーストを細く絞り出して作られます。一方、イタリアのモンブランは、栗のペーストを土台にし、その上に生クリームを盛りつけるスタイルです。どちらも「白い山」をイメージしており、見た目の違いはあるものの、基本的なコンセプトは同じです。
日本にモンブランが伝わったのは1933年のこと。東京・自由が丘にオープンした洋菓子店「MONT-BLANC(モンブラン)」が、日本で初めてモンブランを販売しました。創業者の迫田千万億氏がヨーロッパを旅した際にモンブランを目にし、それを日本人向けにアレンジしたことが、日本のモンブラン誕生のきっかけとなったのです。
特に注目すべき点は、日本のモンブランが黄色かったことです。ヨーロッパのモンブランは栗本来の色である茶色をしていますが、日本のモンブランは栗の甘露煮をペーストにしたことで鮮やかな黄色になりました。これは、和菓子に使われる栗きんとんの製法を応用したためです。日本人の味覚に合うようにアレンジされた結果、日本独自の黄色いモンブランが誕生したのです。
その後、1984年にフランスの老舗「アンジェリーナ」が日本に進出し、ヨーロッパ式の茶色いモンブランを販売したことで、日本でも茶色いモンブランが広まっていきました。現在では、黄色と茶色の両方のモンブランが一般的になり、それぞれ異なる魅力を持つスイーツとして親しまれています。
このように、モンブランはフランス・イタリアの郷土菓子として始まり、日本に伝わって独自の進化を遂げました。歴史を知ることで、モンブランをより深く楽しむことができるのではないでしょうか。
日本で最初に登場したモンブランとは?

出典:【保存版】モンブラン完全ガイド!歴史・種類・おすすめ店まとめ
日本で初めてモンブランが登場したのは1933年(昭和8年)です。東京・自由が丘に開業した洋菓子店「MONT-BLANC(モンブラン)」が、日本で初めてモンブランを販売しました。この店の創業者である迫田千万億氏は、ヨーロッパを訪れた際にモンブランを知り、「日本人に合うモンブランを作りたい」と考えたことがきっかけでした。
当時のヨーロッパのモンブランは、メレンゲの上にマロンクリームを盛り付けたデザートとして提供されていました。しかし、迫田氏は持ち帰りができるケーキを作る必要がありました。そのため、洋菓子としてのアレンジを加え、カステラを土台にしたモンブランを考案しました。
日本で作られたモンブランの最大の特徴は、その色です。ヨーロッパのモンブランは栗本来の色である茶色をしていましたが、日本のモンブランは黄色でした。これは、和菓子の技法を取り入れ、栗の甘露煮を使用したためです。栗の甘露煮は、おせち料理の栗きんとんにも使われるほど、日本人には馴染みの深い食材でした。そのため、日本のモンブランは親しみやすく、日本人の口に合う味わいとして人気を集めました。
また、日本のモンブランは、てっぺんにメレンゲを乗せるスタイルも特徴的です。これは、アルプス山脈のモンブラン山に積もる雪をイメージしたものです。一方で、現在ではこのメレンゲの代わりに栗を乗せるスタイルも一般的になっています。実は、この「モンブランのてっぺんに栗を乗せる」というのも日本独自の文化です。日本には「勝ち栗」という言葉があり、武将が戦勝祈願に栗を食べる習慣があったことから、縁起物としてモンブランの上に栗が飾られるようになったといわれています。
こうして誕生した日本のモンブランは、昭和の時代を経て全国に広まりました。そして、1984年にはフランスの「アンジェリーナ」が東京・銀座に出店し、本場の茶色いモンブランを販売したことで、日本でも茶色いモンブランが広まっていきました。現在では、黄色と茶色の両方のモンブランが楽しまれています。
日本で最初に登場したモンブランは、ヨーロッパの伝統を受け継ぎながらも、日本独自の進化を遂げたスイーツだったのです。
昭和時代のモンブランの変遷

出典:【保存版】モンブラン完全ガイド!歴史・種類・おすすめ店まとめ
昭和時代の日本において、モンブランは洋菓子としての地位を確立し、多くの人に親しまれるようになりました。その背景には、日本独自の改良や食文化の変化が深く関係しています。
昭和初期に登場したモンブランは、現在のようなクリーム主体のケーキではなく、カステラを土台にしたシンプルな作りでした。栗の甘露煮を使用し、日本人の味覚に合うように甘さが控えめで、黄色い見た目が特徴的でした。このスタイルは、和菓子の技法を取り入れたことで生まれた、日本独自のモンブランの形でした。
昭和中期に入ると、モンブランは全国に広がり、多くの洋菓子店で販売されるようになりました。高度経済成長とともに洋菓子文化が普及し、バタークリームを使用したモンブランが主流となります。この時代のモンブランは、現在のものよりも甘さが強く、保存性を考慮してバタークリームが多く使われていました。昭和40年代から50年代にかけては、ケーキ屋のショーケースにモンブランが並ぶ光景が一般的になり、誕生日ケーキや特別な日のスイーツとして人気を博しました。
昭和後期になると、生クリームの普及や洋菓子の多様化に伴い、モンブランも変化を遂げました。それまでのバタークリーム主体のものから、生クリームをふんだんに使った軽やかな味わいのモンブランが登場し、現代のモンブランに近い形へと進化していきます。また、この頃からフランスやイタリアの影響を受けた茶色いモンブランが少しずつ認知され始めました。
このように、昭和時代のモンブランは、日本独自の進化を遂げながら、時代とともに変化してきました。黄色いモンブランが主流だった昭和の時代を経て、平成・令和へと続く中で、モンブランのバリエーションはさらに広がっています。今では、和栗を使用したものや、抹茶・さつまいもなどを取り入れた新しいモンブランも登場し、日本ならではの洋菓子として進化し続けています。
昔ながらの黄色いモンブランとは?

出典:【保存版】モンブラン完全ガイド!歴史・種類・おすすめ店まとめ
昔ながらのモンブランと聞くと、どのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。現在では、さまざまな種類のモンブランが登場していますが、日本で古くから親しまれてきたモンブランには、特徴的なスタイルがあります。特に、日本独自の「黄色いモンブラン」は、昭和の時代から続く伝統的な形として、多くの人に親しまれています。
昔ながらのモンブランは、現在のものとは異なり、バタークリームを使用したものが一般的でした。現在では生クリームが主流ですが、昭和時代には冷蔵設備が整っていなかったため、保存性の高いバタークリームが多く使われていました。そのため、当時のモンブランは口当たりが少し重く、濃厚な甘みが特徴的でした。
また、昔ながらのモンブランは、土台としてスポンジケーキやカステラが使われていた点も特徴的です。現在のモンブランはサクサクとしたメレンゲを土台にすることが多いですが、日本のモンブランは、柔らかいカステラの上にクリームを重ね、その上から細く絞った栗ペーストで覆う形が定番でした。これは、日本人の口に合うようにアレンジされたもので、和菓子の影響を受けていることが分かります。
さらに、昔ながらのモンブランは、黄色い栗ペーストが使われていた点も特徴です。ヨーロッパではマロングラッセを使った茶色のペーストが主流ですが、日本では甘露煮を使ったため、鮮やかな黄色いモンブランが誕生しました。これは、栗きんとんの技法を応用したもので、日本ならではの和洋折衷のスイーツといえます。
現在では、生クリームをたっぷり使った軽やかなモンブランや、さまざまなフレーバーのモンブランが登場しています。しかし、昔ながらのバタークリームを使った黄色いモンブランは、今でも根強い人気があります。懐かしい味わいを求める人々にとって、昔ながらのモンブランは特別な存在なのかもしれません。
モンブラン=栗?なぜそうなったのか

出典:【保存版】モンブラン完全ガイド!歴史・種類・おすすめ店まとめ
モンブランといえば、栗を使ったケーキを思い浮かべる人がほとんどでしょう。しかし、なぜモンブランは栗を使うのが一般的になったのでしょうか。その背景には、歴史的な経緯や食文化の影響が関係しています。
まず、モンブランの名前の由来は、フランスとイタリアの国境にそびえるアルプス山脈の「モンブラン(Mont Blanc)」です。この山は「白い山」という意味を持ち、その雪に覆われた美しい姿が、モンブランというケーキの発想につながりました。モンブラン山のある地域では栗の栽培が盛んで、特にフランスのサヴォワ地方やイタリアのピエモンテ州では栗を使った料理やお菓子が多く作られてきました。こうした地域の伝統を背景に、モンブランも自然と栗を主原料とするようになったのです。
また、栗はフランスやイタリアにおいて、秋の味覚として親しまれています。特にフランスでは、栗の砂糖漬け「マロングラッセ」が伝統的なスイーツとして知られています。モンブランの栗ペーストは、このマロングラッセをペースト状にしたものを使用することが一般的です。栗の風味が濃厚でありながらも、砂糖漬けにすることで自然な甘さが引き出され、モンブランの独特な味わいにつながっています。
一方、日本にモンブランが伝わった際には、栗の甘露煮が使用されるようになりました。これは、日本の和菓子文化に由来するもので、栗の甘露煮は「栗きんとん」などに用いられることが多く、日本人にとってなじみのある味わいだったためです。その結果、日本のモンブランは黄色い栗ペーストを使用した独自のスタイルへと進化しました。
こうした歴史や文化の影響を受け、モンブランは「栗を使ったスイーツ」として世界中で定着しました。しかし、最近では抹茶やさつまいも、かぼちゃなど、栗以外の素材を使ったモンブランも増えており、新しいバリエーションが次々と誕生しています。それでもなお、栗を使用したモンブランが王道として愛され続けているのは、その豊かな風味と、モンブラン山の白い雪を連想させる美しい見た目が、伝統的な魅力として根付いているからでしょう。
日本と海外で何が違うのか?

出典:【保存版】モンブラン完全ガイド!歴史・種類・おすすめ店まとめ
日本と海外のモンブランには、材料や見た目、味わいなど多くの違いがあります。これらの違いは、それぞれの国の食文化や好みによるものであり、どちらが優れているというわけではなく、それぞれに魅力があります。
まず、日本のモンブランの最大の特徴は「黄色い栗のペースト」を使用している点です。これは、栗の甘露煮を使った日本独自の製法によるものです。もともと和菓子で使われていた甘露煮の技術が活かされ、日本人の味覚に合うようにアレンジされました。一方、海外のモンブランは、マロングラッセをペーストにしているため、茶色い色をしています。
見た目の違いも顕著です。日本のモンブランは、カステラやスポンジを土台にしてクリームを重ね、栗のペーストを細く絞り出してデコレーションするのが一般的です。上には栗の甘露煮やメレンゲが乗ることが多く、華やかな印象を与えます。これに対し、フランスのモンブランは丸いドーム型をしており、メレンゲを土台にしてその上に生クリームを乗せ、マロンペーストで覆うスタイルです。イタリアのモンブランは、逆に栗のペーストを土台にし、その上から生クリームを塗り固めるため、先端の尖った三角形の形をしています。
味わいにも違いがあります。日本のモンブランは、甘露煮を使っているため、やや甘めで滑らかな口当たりが特徴です。一方、海外のモンブランは、栗本来の風味が強く、甘さ控えめで濃厚な味わいになっています。特にフランスのモンブランは、ラム酒やバニラの風味が加わることが多く、大人向けの味わいです。
こうした違いは、日本と海外の食文化の違いを反映したものであり、それぞれの国で独自の進化を遂げています。モンブランを食べ比べることで、それぞれの国の特色を楽しむことができるでしょう。
モンブラン 日本だけの特徴と海外との違い
- モンブランの本場はどこ?フランスとイタリア
- フランスとイタリアのモンブランの違いとは?
- 黄色いモンブランのレシピと作り方
- 東京発祥の黄色いモンブランとは?
- 黄色いモンブランとさつまいもの関係とは?
- 日本発祥のモンブランが広まった理由
モンブランの本場はどこ?フランスとイタリア
モンブランは、フランスとイタリアの両国にまたがるアルプス山脈の最高峰「モンブラン山」をイメージして作られた洋菓子です。そのため、本場とされる地域もフランスとイタリアの両方に存在します。具体的には、フランスの「サヴォワ地方」とイタリアの「ピエモンテ州」がモンブラン発祥の地といわれています。
フランスのモンブランは、メレンゲを土台にして生クリームを重ね、その上にマロンペーストを細く絞り出して作られます。丸みを帯びたフォルムが特徴的で、仕上げに粉砂糖をまぶすことで「白い山」のイメージを強調しています。フランスでは、1903年創業の老舗「アンジェリーナ」がモンブランの名店として知られており、そのレシピは現在も受け継がれています。
一方、イタリアのモンブランはフランスのものとは形状が異なります。土台が栗のペーストでできており、その上から生クリームをたっぷりとかけて仕上げるため、先端が尖った山のような形をしています。これは、イタリア側から見たモンブラン山の険しい姿を表現しているとされています。イタリアのピエモンテ州は、栗の名産地としても知られ、現地では栗を使ったさまざまなスイーツが楽しまれています。
このように、モンブランの本場はフランスとイタリアの両国にあり、それぞれの国で異なるスタイルのモンブランが発展してきました。どちらが本家なのかは明確ではありませんが、どちらのモンブランも伝統的な製法を守り続けており、今でも愛されているスイーツの一つです。モンブランの本場を訪れ、それぞれの違いを味わってみるのも興味深い体験になるでしょう。
フランスとイタリアのモンブランの違いとは?

出典:【保存版】モンブラン完全ガイド!歴史・種類・おすすめ店まとめ
フランスとイタリアのモンブランは、同じ名前のスイーツですが、形や材料、味わいが大きく異なります。これは、それぞれの国の食文化やスイーツの伝統が反映されているためです。
まず、見た目の違いが最も分かりやすい特徴です。フランスのモンブランは、丸みを帯びたドーム型で、メレンゲを土台にしています。その上に生クリームを重ね、さらに細く絞り出したマロンペーストで覆われているのが一般的です。仕上げに粉砂糖をふりかけることで、雪に覆われたモンブラン山をイメージしています。フランスでは、このスタイルのモンブランが広く親しまれており、特に「アンジェリーナ」のモンブランが有名です。
一方、イタリアのモンブランは形状が異なり、先端の尖った三角形をしています。これは、イタリア側から見たモンブラン山の険しい姿を表現したものとされています。また、土台部分が栗のペーストで作られている点も特徴的です。フランスのモンブランでは生クリームが上に乗っていますが、イタリアのモンブランでは逆に栗のペーストが土台となり、その上に生クリームをかけるスタイルが一般的です。
味の違いにも注目すると、フランスのモンブランはラム酒やバニラ風味が加わることが多く、甘さとコクのある味わいが特徴です。また、メレンゲのサクサクとした食感がアクセントになり、軽やかな口当たりを楽しめます。一方、イタリアのモンブランは、栗の風味を前面に出したシンプルな味わいが特徴で、生クリームのなめらかさとともに、素朴な甘みが感じられます。
このように、フランスとイタリアのモンブランは見た目、材料、味わいのすべてにおいて異なり、それぞれの国の食文化が反映されています。どちらのモンブランも魅力的で、食べ比べをすることで新たな発見があるかもしれません。旅行の際には、本場のモンブランを試してみるのもおすすめです。
黄色いモンブランのレシピと作り方

出典:【保存版】モンブラン完全ガイド!歴史・種類・おすすめ店まとめ
黄色いモンブランは、日本独自のモンブランとして発展したスイーツです。一般的な茶色のモンブランとは異なり、栗の甘露煮をペーストにすることで鮮やかな黄色に仕上がります。ここでは、自宅でも作れるシンプルな黄色いモンブランのレシピと作り方を紹介します。
【材料(約4個分)】
- 栗の甘露煮(瓶詰めや市販のもの) … 200g
- 生クリーム … 100ml
- 砂糖 … 10g(甘さ控えめにしたい場合は省略可能)
- バター … 10g
- カステラ(スポンジケーキでも可) … 4切れ
- バニラエッセンス … 数滴
- メレンゲ(またはホイップクリーム) … 適量
【作り方】
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栗ペーストの準備
栗の甘露煮をざるにあけ、軽く水気を切ります。フードプロセッサーに入れ、なめらかになるまで撹拌します。ペーストが固い場合は、甘露煮のシロップを少し加えて調整してください。 -
風味を加える
ペーストを鍋に移し、弱火で加熱しながらバターと砂糖を加えます。混ぜながらバターが溶けるまで加熱し、最後にバニラエッセンスを数滴加えて火を止めます。これにより、栗の香りが引き立ちます。 -
ベースの準備
カステラを適当な大きさにカットし、お皿に置きます。上に軽くホイップした生クリームをのせ、ふんわりと形を整えます。 -
栗ペーストの絞り出し
粗熱を取った栗ペーストを、口金(細い穴のある絞り袋)に入れます。カステラと生クリームの上から、モンブラン特有の細い線を描くように絞り出します。 -
仕上げ
最後に、てっぺんにメレンゲを乗せると、日本の伝統的なモンブランの形に仕上がります。好みに応じて粉糖を振ると、より上品な見た目になります。
黄色いモンブランは、栗の甘露煮の自然な甘さが活かされた優しい味わいが特徴です。自宅で簡単に作れるので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
東京発祥の黄色いモンブランとは?

出典:【保存版】モンブラン完全ガイド!歴史・種類・おすすめ店まとめ
日本の黄色いモンブランは、東京・自由が丘で生まれました。1933年(昭和8年)、自由が丘にオープンした洋菓子店「MONT-BLANC(モンブラン)」が、日本で初めてモンブランを販売したのが始まりです。
当時、創業者の迫田千万億氏は、フランスやイタリアを訪れた際にモンブランというスイーツを知り、「日本人に合うモンブランを作りたい」と考えました。しかし、ヨーロッパのモンブランはメレンゲの上にマロンクリームをのせるスタイルが主流で、持ち帰りに向いていませんでした。そこで、日本で販売するために、カステラを土台にし、クリームと栗のペーストを組み合わせるという独自のスタイルを考案したのです。
特に大きな違いは、使用する栗の種類と製法です。ヨーロッパではマロングラッセを使った茶色いペーストが一般的ですが、日本では栗の甘露煮をペーストにしたため、黄色いモンブランが誕生しました。甘露煮は日本の伝統的な和菓子文化に根付いた食材であり、日本人にとって親しみやすい味わいだったことから、この黄色いモンブランはすぐに人気を集めました。
また、日本のモンブランの特徴として、てっぺんにメレンゲをのせるスタイルが挙げられます。これは、モンブラン山の雪をイメージしたものです。しかし、現在ではメレンゲの代わりに栗をのせることが一般的になっています。この「モンブランの上に栗をのせる」スタイルは、日本独自のものです。
このように、東京で誕生した黄色いモンブランは、日本ならではの食文化とヨーロッパの洋菓子の融合によって生まれたスイーツです。現在も「MONT-BLANC(モンブラン)」では、創業当時と同じレシピで黄色いモンブランが販売されており、多くの人に親しまれ続けています。
黄色いモンブランとさつまいもの関係とは?

出典:【保存版】モンブラン完全ガイド!歴史・種類・おすすめ店まとめ
黄色いモンブランは、日本独自のスイーツとして発展してきましたが、その黄色い色合いから「さつまいもが使われているのでは?」と考える人もいるかもしれません。実際、黄色いモンブランとさつまいもには深い関係があり、近年ではさつまいもを使用したモンブランも多く見られるようになっています。
もともと、日本のモンブランは栗の甘露煮を使用して作られていました。甘露煮は、栗を砂糖と水で煮て甘く仕上げる和菓子の技法の一つで、おせち料理の「栗きんとん」にも使われるほど、日本人にとって馴染みのあるものです。この甘露煮をペーストにしたことで、日本のモンブランは黄色い色を持つようになりました。しかし、栗の収穫量には限りがあり、また価格が高いため、より手に入りやすい代替素材として「さつまいも」が注目されるようになったのです。
さつまいもは、日本では古くから親しまれている食材の一つで、特に甘さとホクホクとした食感が特徴です。栗の代用として使用することで、同じように滑らかで甘みのあるペーストが作れるため、モンブランにも適していました。また、さつまいもを使うことでコストが抑えられ、大量生産しやすいというメリットもあります。
近年では、さつまいもを主原料とした「さつまいもモンブラン」も人気を集めています。特に、安納芋や紅はるかといった甘みの強い品種を使用することで、より濃厚な味わいのモンブランが作られています。さらに、紫芋を使った紫色のモンブランなど、さつまいもの種類によってカラフルなモンブランが楽しめるのも魅力の一つです。
このように、黄色いモンブランとさつまいもには密接な関係があり、現在では「栗のモンブラン」と「さつまいものモンブラン」がそれぞれの特徴を活かして共存しています。どちらも日本ならではの食材を使用している点が共通しており、それぞれ異なる風味や食感を楽しむことができます。モンブランを選ぶ際には、栗とさつまいもの違いに注目して食べ比べてみるのも面白いかもしれません。
日本発祥のモンブランが広まった理由

出典:【保存版】モンブラン完全ガイド!歴史・種類・おすすめ店まとめ
日本発祥の黄色いモンブランは、昭和の時代から現在に至るまで、広く愛されるスイーツとして親しまれています。その背景には、日本ならではの食文化や時代の流れが深く関係しており、いくつかの要因が影響を与えています。
まず、日本のモンブランが広まった大きな要因の一つに、「日本人の味覚に合ったこと」が挙げられます。もともと和菓子文化が根付いていた日本では、栗の甘露煮や栗きんとんのような甘くてなめらかな食感のスイーツが好まれていました。そこで、ヨーロッパのモンブランを日本人向けにアレンジし、甘露煮をペーストにしたことで、より親しみやすい味わいのモンブランが誕生しました。この食べやすさが、多くの人に受け入れられるきっかけとなったのです。
次に、日本の洋菓子文化の発展も、モンブランの普及に影響を与えました。昭和の時代には、洋菓子が贅沢品として特別な日に楽しまれることが多く、ケーキ屋のショーケースに並ぶモンブランは、高級感のあるスイーツとして人気を集めました。特に、誕生日や記念日などの特別な日に食べるケーキとして、多くの人々に選ばれるようになりました。
また、1980年代以降、海外の洋菓子ブランドが日本に進出したことも、モンブラン人気の拡大に影響を与えました。1984年にフランスの名店「アンジェリーナ」が東京・銀座に出店し、茶色いモンブランが販売されるようになると、日本の人々は本場のモンブランにも興味を持つようになりました。これによって、「モンブラン」というスイーツの認知度がさらに高まり、日本全国に広がっていったのです。
さらに、近年のスイーツブームも、日本のモンブラン人気を後押ししています。特に、SNSの普及により、見た目の美しさが重視されるようになり、さまざまなアレンジを加えたモンブランが次々と登場しています。和栗を贅沢に使用したものや、さつまいも、抹茶、かぼちゃなどを使ったカラフルなモンブランが人気を集めるようになり、日本のモンブラン文化はさらに多様化しています。
このように、日本発祥のモンブランが広まった背景には、日本人の味覚に合う工夫、洋菓子文化の発展、海外ブランドの影響、そして近年のスイーツブームといったさまざまな要因が絡み合っています。現在では、モンブランは単なるケーキではなく、日本独自の進化を遂げたスイーツの一つとして、多くの人々に親しまれ続けています。
モンブラン 日本だけの特徴と発展の歴史
- モンブランはフランスのサヴォワ地方とイタリアのピエモンテ州で発祥し、アルプス山脈の「モンブラン山」をイメージして作られた洋菓子である
- 日本のモンブランは1933年、東京・自由が丘の洋菓子店「MONT-BLANC(モンブラン)」で初めて販売され、日本独自の進化を遂げた
- 日本のモンブランは栗の甘露煮をペーストに使用したため、ヨーロッパの茶色いモンブランとは異なり、鮮やかな黄色が特徴となった
- フランスのモンブランはメレンゲを土台にして生クリームを重ね、マロンペーストで覆う丸みのあるドーム型が一般的なスタイルとなっている
- イタリアのモンブランは、栗ペーストを土台にし、その上からたっぷりの生クリームをかけることで、険しいモンブラン山を表現した三角形の形状をしている
- 日本のモンブランは、ヨーロッパのメレンゲではなく、和菓子の影響を受けたカステラを土台にし、より日本人の口に合うようにアレンジされた
- 日本のモンブランの上には、アルプスの雪をイメージしたメレンゲが乗せられることが多いが、現在では甘露煮の栗をのせるスタイルも一般的になっている
- 日本には「勝ち栗」という文化があり、武将が戦勝祈願として栗を食べたことに由来し、縁起を担ぐ意味でモンブランの上に栗がのせられるようになった
- 1984年にフランスの老舗「アンジェリーナ」が日本に進出し、栗本来の色を活かした茶色いモンブランが日本国内でも広まり、現在では黄色と茶色の両方が定着している
- 昭和時代の日本のモンブランは、冷蔵技術の関係で生クリームではなくバタークリームを使用し、濃厚な甘さとコクのある味わいが特徴的だった
- 現在の日本では、黄色いモンブランだけでなく、抹茶やさつまいも、かぼちゃなどを使ったカラフルなモンブランも登場し、バリエーションが豊富になっている
- さつまいもは栗よりも安価で入手しやすく、ペーストにすると滑らかで甘みがあるため、近年ではさつまいもを使ったモンブランも人気を集めている
- SNSの普及により、日本発祥の黄色いモンブランが再び注目され、昔ながらのスタイルを踏襲したレトロなケーキとしても話題になっている
- 和栗をふんだんに使用した高級モンブランが全国の洋菓子店や和菓子店で販売されるようになり、見た目や素材にこだわったモンブランが増えている
- 日本独自の進化を遂げたモンブランは、和菓子と洋菓子の要素を融合させながら、現在も新たなアレンジが加えられ、さらなる発展を続けている